風景は写真か
多田正美 写真エッセイ (2012)
作家と僕はこちら側にいて、何かを共有している。
つくるものと語るものがこちら側に共存して、共通の窓枠から世界の不思議を共にしている。多田の写真からそういう体験を僕は得た。(椹木野衣)
-求龍堂-
写即音興
ネパール、見えるもの見えないもの/姿・音・祈り (2004)
パタンのラートマチェンドラ祭の山車を組み立てる風景、夜明け前から人々がそこに集まって来て、壮大なるものと共にありたいと山車の一部に皆触れる。祭はネワール語でカルナマエ、その意味は〈弱き者を助ける〉だった。山車はそっくりな小型のミンナートと呼ぶ神様の山車が常に先導する、それは弱い人や子供達やらが動かすもので、いくつもの物語が同時に複雑に進行していく。全てはカトマンズ渓谷に人々が住み着いた創生物語で、時間がゼロに戻った所から行われる中で雨季が訪れ終了。終わった直後、観音様は一転して人々に罵倒される中、山に逃げ帰る。神様は毎年顔が新たに描かれる。まるで未来のアニメの主人公の眼と睫毛の線には驚かされる。観光ツアーで見て回っても絶対に見えない人々の文化の深さ多様さ。(CD2枚付き /即興音と夜明け前の街の音 )
-青幻舎-